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2012.06.24知っ得ワード 副作用の調査、発売後も

新薬の候補物質はまず試験管の中で薬の作用を確かめます。その後、ネズミなどの動物でも実験しますが、人間とは薬の効果や副作用の表れ方が違ってきます。実際に、患者を使って確かめる臨床試験(治験)をしなければなりません。

ただ、どんなにきちんとした臨床試験をしても、副作用をすべて確認できるわけではありません。臨床試験で実際に候補物質を与える患者は多くても1000~数千人の規模です。この場合、例えば数万人に1人にしか起こらないような副作用は見つけられないことが多いのです。

薬が承認されて数万~数百万人という規模で多くの患者が使うようになると、初めて出てくる副作用もあります。例えば、薬を飲んだことで起きる全身のアレルギー症状であるアナフィラキシーショックです。こうした副作用は薬が広く使われるようになって初めてわかることがあります。このため、多くの薬では、販売された後も副作用に関する調査が実施されるようになりました。

また臨床試験は、65歳程度までで合併症がないなどと比較的副作用が出にくい人が選ばれます。統計処理をする必要があるからです。特別な既往症や合併症がある人、高齢者が使う場合は、予期しない副作用が出る可能性もあります。
(回答者=明治薬科大学教授 越前宏俊)

 

                                                                                                            2012年6月24日 日本経済新聞より抜粋

 

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